景気の行方は...?

2018年1月9日 21:00

,

年末から今日にかけて、「これからの景気はどうなると思いますか?」という質問をよく受けています。
それに対する私の答えは・・・
『う~ん、全く読めないですね。』
これに尽きます。
いや、本当にそうだからです。
2020年に東京オリンピックを控え、どこまで経済が成長するのか?
そしてオリンピックが終わった後はどうなるのか??
これは皆様の大半が気にしている事だと思います。

オリンピックといえば、スポーツ施設をはじめ道路や鉄道などのインフラ整備、外国人観光客のための宿泊施設建設などなど、数多くの先行投資を余儀なくされます。企業は設備投資を活発にして、外国からも投資マネーが入ってくることになります。
企業業績は上昇し、株価も上がります。実際に、東京五輪開催が決定した2013年9月8日直後から日経平均株価は上昇基調となり、しばらくは株式市場も大いに沸きました。

そもそも東京五輪の経済効果は、東京オリンピック・パラリンピック委員会が2012年に発表した数字によると2兆9600億円で、15万人の雇用創出効果があると試算しています。二次的な波及効果として新規雇用者の所得増などを含めると、総額は5兆円に達すると言われています。

しかしながら日本のGDPは年間約490兆円(2014年度、名目)ですから、5兆円という経済規模効果が微々たるものであることが分かるはずです。
実際、少なくとも先進国でのオリンピックはその国の経済成長率を大きく上昇させることは少なく、株価も一本調子で上昇するといった現象はほとんど起きていません。

実際に、2000年以降のオリンピック開催国の株価の推移を見てみると、五輪開催以後も景気が上向いて株価が上昇したのはオーストラリアぐらいです。他国は、すべてITバブル崩壊やリーマンショックの影響を色濃く受けていることが分かります。つまり、五輪開催による経済成長はある程度は見込めるものの、世界的な景気変動や株の暴落には五輪といえども抵抗できないと考えていいようです。

五輪のような経済イベントは、ある意味で需要の先取りになります。五輪開催決定以降、一度は好景気に沸くものの通常は2年程度で景気減速がみられるケースが多いようです。開催直前になってテレビの売り上げ増加など一部個人消費の向上が見られる場合もありますが、経済全体からすれば微々たるもの。五輪というイベントの過大評価は禁物かもしれません。